Futuer World

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私の疑問を見抜いたのであろう、相変わらず抑揚のないトーンで彼女の説明は続く。 「『Wonder-x00』は大工場や工業用機器を内部の随所に備え、様々なロボットを製造管理・また改造することができます。工業用ロボットを駆使することで自身の破損箇所を自己修復することも可能です。連結された全てのコンピューターが核であるため、例えどこかの演算機能が不具合を起こしても問題なく修復できるのです」 なるほど、合理的だ。 要は、高度な計算機能と生産機能を併せ持つ万能機器というわけだ。需要を見抜き、必要に応じたロボットを生み出しているのであろう。 「この時代は特にロボット技術が発達したわけだ。だがそれだけ優秀なロボットが増えたならば、人間に反逆を企てるロボットも出てくるんじゃないのか? 昔の映画にそんな話のものがあっただろう」 「その心配は無用です。国内ロボットは現在全てが『Wonder-x00』と通信を行っており、個体の状況判断を合わせた高速演算によって最良の行動を選択します。また『Wonder-x00』の演算における最優先項目には『人類の利益』があり、決してそれを損なうこともありません。もし反する行動を起こそうとすれば個体の故障と見なし、即座に周囲のロボットが制圧・修復に取り掛かることでしょう。事実、これまでロボットが人類に危害を加えた事例は一切ありません」 どうやら、私が思う以上にこの時代のロボットはよく出来ているようだ。 性能も良ければ、人間にとって都合も良い。いち科学者として、このシステムを生み出した者には脱帽である。
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