記憶のかけら

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「斉藤さ~ん、点滴ですよ~」 今日も新人看護士が来た。 いつも笑顔で悪い印象は無い。 だけど、何故か僕は彼女と話すことが出来なかった。 話そうとは何度も思ったけれど。 「今日は風が強くて飛ばされるかと思いましたよ~」 「あ、そうそう、今日からわたし、まえだ かすみって子になったんです~。患者さんの娘さんの名前なんですけどね~、本人の目の前で辛くなりましたよ~……」 「あの、男の人ってどうしてお尻に手が伸びるんですかね~? 斉藤さんもわかったりするんですか~? 」 「あ、でも~片山先生だったら私は気にしませんよ~。まあ、片山先生はそんなことしないけど~」 ……今日も変わらず彼女が一方的に話すだけで時間は過ぎていく。 しかし、その日、 彼女が、違った一面を見せた。
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