今年も私は送る側。

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「委員長、最後に一言を貰えるか」 クラスの女子が様々な涙を流す中、担任に指名された私は皆のメッセージが詰まった黒板を背にして立った。 「卒業本当におめでとう。 この一年はあっという間で、けど一日一日がサイコーに輝いていました。 明日からはそれぞれ違う、未知の道を歩んでいくことになります。 だから、不安や苦難で挫けそうになったらひとりで抱え込まず、母校に顔を出してみて下さい」 想いを堪えきれずに私は目尻に涙を貯めて、 「私は来年も毎日ここにいますから!」 「「「今年も追試落ちたのかよっ!!」」」 3度目の高校三年生として卒業式を迎えた今日。 点数稼ぎの委員長までこなし、満を持して挑んだ卒業試験に私はまたもや失敗した。 級友達の総ツッコミの最中。私の担任6年目の先生は私の肩をポンと叩いて、 「来月からもシクヨロ」 その日一番の晴れやかな彼の笑顔を、私は一生忘れない。
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