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 喘鳴(ぜんめい)の音で少女は目が覚めた。  それが自分の声だったのだと何度か重苦しい呼吸を繰り返してから気が付く。瞬き、まだはっきりとしない意識を精一杯呼び覚ました。  眼前には何もない。  ――ここは一体どこなの?  本当に目の前には何も無いのだろうか。何も見えない暗闇なだけなのだろうか。  もう一度瞬いてみると、瞼に目やにが絡まるような嫌な感触を覚えた。  拭いたい。けれども手が動かない。この倦怠感はどうにかならないものか……。  ――がちん。  やっと指先がちょっと動いたかと思えば、爪先が何か硬いものに当たった。掌を返し、触れた先は僅かに湿っていて滑らかだ。  自分が横たわっている面も同様に平らで硬い。  ――なんだか、箱に入ってるみたい。  そういえば先程から鼻や口が吐く息の熱を近くに感じていた。まるで、吐いたものが壁に当たってそのまま顔に返って来ているようだ。肩に触れる髪以外、服などの肌に覆いかぶさる物の感触は無い。  ひどく窮屈な場所に居るのは確かだ。  起き上がろうとして、ごちんと額が何かに衝突した。音の波動は空間の中を幾度となく反響した。
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