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 ――なんなの? わたし、どうしてこんなところに。これって、棺おけじゃ――  怖い。しかし土の臭いはしない。むしろ、何の臭いもしなくて変だ。  ――出して!  拳を握って眼前の壁を叩いてみた。しばらくそうしていても手が痛くなるだけで、何の効果も得られなかった。頭突きを何度か繰り出してみるも、無駄に終わる。  仕方なく、頭痛が治まるのを待った。  幾度目かの瞬きを経て、ふいに目の前の闇が闇でなくなっていた。  小さな青い光の点が連なって短い列を作っている。  列が動いた。その隣には白い光の点の列、更にその隣には光り輝く小柄な輪郭が幾つかある。その輪郭には見覚えがあった。身体に比較してやたら大きい黒目が、じっと少女を見下ろしてきた。 「え……。さ、かな……ランタン・フィッシュ?」  彼女が苦労をして発した声に、魚の群れは一斉に驚いて退いた。彼らが離れて出来た溝に、強面な魚が一匹進み出た。おどろおどろしい歯と頭から伸びる長い棒が目に付く。アンコウ、である。少女は笑みを作って緊張を隠そうとした。  小魚たちはこわごわと「箱」を突いている。彼らの姿はあくまで外側にある。まるでこれは、ガラス箱だ。身を守る殻だ。 「な、なに? やめて……」  声を出すと皆は驚いてしゅっと身を引く。  その様子をずっと観察していたアンコウはくるりと身を翻した。 「長老様! ヒトが起きたよ!」
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