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優那の所でケーキをよばれ、その後皆と談笑をして部屋へ戻ってきた伊織は、玄関先に日向を待たせて寝室へ向かった。
『ちょっと待ってて下さいね』
寝室のクローゼットの奥から段ボールを出すと、段ボールの中をゴソゴソと探り始める。
『日向さんに似合うのは、やっぱり黒猫ちゃんかな』
段ボールの中から、黒を基調としたビスチェやフリルをふんだんに使ったフワフワのミニスカート、お揃いのチョーカー、カフスに猫耳カチューシャ、猫のしっぽを次々と取り出した。
『うわぁ、これなんか悪趣味だよね』
伊織が手にしたのは、猫のしっぽだ。
しっぽの先には、マジックペン程のプラスチックの棒が付いていて、しっぽを腰やズボンに装着するためのベルトや紐は付いてはいない。
しかもリモコン付き。
恐らくリモコンで操作できる、電動の玩具に違いない。
『湊の奴、悪趣味な服ばかりを作るんだから』
湊の職業はデザイナーだ。
しかも、男の娘が着るセクシーな服をデザインして作成している。
高校時代、湊によって着せられたメイド服やベビードールなどの衣装は、通販などで購入したのではなく、湊がすべてデザインし作成したものだ。
すべては伊織に着せたいが為で、その願望を実現させてしまえばいいじゃないかと、デザイン、作成を始めついにはデザイナーになってしまったのだ。
今、段ボールから取り出した猫耳ブラックビスチェメイド服も、伊織に着せる為に湊が作ったモノだ。
可愛い伊織に似合うかもしれないが、この衣装は天使のような伊織より、小悪魔な日向の方が似合うと思う。
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