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「楽しいオプション付きねぇ……。本当に危ないものは入っていないんだな」
袋の中を覗き込もうとする日向を、伊織は慌てて止めた。
『あー!ここで開けちゃダメです。部屋に帰って夜に開けて下さい。それまで絶対に開けちゃダメですよ』
「解った。遠慮なく貰っていくよ。ありがとう」
礼を言い、紙袋を手に日向は玄関を後にした。
扉が閉まり、伊織は内側からガチャガチャと鍵を二つとも頑丈に閉める。
ふと、カレーが入った鍋をコンロの上に置いたままになっていることを思い出した。
『そうだ、カレーを冷蔵庫に入れとかないと痛んじゃう』
急いでキッチンに走り、コンロの上に置いてある鍋を冷蔵庫に入れた。
ひと休みしようとリビングの扉を開けると、窓が視界に入る。
窓の外を見ると、真っ黒な雲に覆われ、今にも雨が降りだしそうだ。
昼頃まではあんなに晴れていたのに。
『大変だ。早く洗濯物を取り込まなくちゃ』
急いでベランダに出て、洗濯物を取り込んでいく。
ポツリポツリと降りだした雨…──。
両手一杯に衣服を抱えて部屋に戻ろうとした時、一台の黒塗りのリムジンがマンションの駐車場に停車するのが見えた。
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