奥さまは可愛い幼なじみ

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(あのリムジン、もしかして……) リムジンのドアが開き、運転手が降りてくる。 運転手が恭しく後部座席のドアを開けると、伊織がよく知っている人物が姿を現した。 『竜也!』 ベランダから身を乗り出して叫んだ。 その声に気づいた竜也が顔を上げ、手を振ってくれる。 その間に、雨はポツリポツリと言っていられないくらいに、激しい勢いで降りだした。 駆け足で竜也がマンション内に入るのを確認すると、伊織は部屋に戻り両手一杯の衣服をソファにドサッと置く。 ふぅと息を吐き出したところで、インターフォンの音が鳴った。 竜也が来たみたいだ。 一応、インターフォンのモニターで確認してみる。 やはり、竜也だ。 内鍵を二ヶ所開錠すると扉を開け、竜也を出迎えた。 『いらっしゃい』 「突然、押しかけて悪いな」 『さぁ、上がって』 「お邪魔します」 成瀬竜也は、高校からの親友だ。 高校を卒業し大学に進み、父親の会社の後を継いで今や、IT企業の若き社長だ。 だが、まだ正式に後を継いだ訳ではなく、本人曰く副社長らしい。
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