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「そういや、お前まだだよな?」
エーガが思い出したように俺を見る。
そう、俺の画用紙はまだ真っ白だった。
「ま……待って。今、書くから……」
慌ててペンを取るが、食べたいものと言われてもすぐに思いつかない。
鍋に入れるものとなると尚更だ。
いや……鍋。
そうだ!
俺は急いでペンを動かす。
「お、何だ?」
「これ……!」
「は……?」
俺が出した画用紙をエーガは唖然として見つめる。
そこには『白米』と書いてあった。
「米……?」
「思いついた食べたいもので、鍋に入れても一番無難そうなもの……!」
「雑炊?」
「せめて最後に入れてくれるといいんですが……」
真那斗の不安そうな言葉に、執事が返答をする。
『すべての食材は下ごしらえの後同時に鍋に投入します』
「あー、雑炊決定」
「まあ……豪華な食材も入っていることですし、いい雑炊になるんじゃないでしょうか」
頭を押さえるエーガを見て、真那斗がフォローを入れてくれた。
こうして不安を抱えたまま、ヤミナベゲームの一巡目が終わったのだった――
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