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「やっぱ何かあんのかよ」
執事の台詞にうんざりしたようにエーガが聞き返す。
『記入するのは“本当に食べたいもの”でなければいけません。適当に思い浮かんだものは入れることができません』
「え、それだけ?」
「本当かよ? どっか落とし穴とかないよな?」
『それだけです』
「毒とかそういうもの入れられたり……」
『当人が食べたいと望むものしか認められませんので、大丈夫です』
「なら問題ないじゃん!」
「いえ……色々な食材が想定されると思うのですが、はたしてどんな鍋になるんでしょう」
『その点はご安心ください』
気遣わしげに尋ねる真那斗に、執事は請け合った。
『どのような食材でもある程度食べられるように調理させていただきます』
「……最終的にカレーなんじゃね?」
「俺カレー好き!」
ぼそりと呟く小由に戒が嬉しそうに返す。
「ええと……それでは、何も落とし穴はないんでしょうか?」
「さあ……しかし聞いた限りでは特に人が傷つくようなルールではなさそうですね」
「むしろ好きなモン食わせてくれるんだろ? ラッキーじゃん!」
「鍋限定ですけどね」
顔を見合わせる真那斗と蒼央の背中をエーガが元気よく叩く。
その横で夕凪が面白くなさそうに呟いた。
『それでは、準備もよろしいようですので――ただ今から、闇鍋ゲームを開始いたします』
テレビの中の執事が居住まいを正し、俺たちに宣言した。
『こちらのゲームは、ビーストゲームでは排除されていた“食欲”を満足していただくべく用意したものです。どうぞお好きな食材をご記入ください』
「いや、今なんか聞き捨てならない台詞が聞こえたよ!」
「食欲が排除されたって……どういう意味ですか?」
執事の説明に俺と蒼央が慌てて聞き返すが、それ以降執事の答えはない。
テレビも消え、ただ沈黙が流れるだけ――
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