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『違うよ。新宿伊勢丹とかだよ』
スズランと聞いて彼女が口を出すと、また口論が始まった。
『スズランも負けてなかろうが！まったく何でもかんでも東京東京』
『お父さん、ジャイアンツ好きじゃん』
『それとこれとは別だ！』
一喝したあと、お父さんはくるりと僕の方を向いた。
『そういえば裕一君はどこのファンだ？大事なことを聞くのを忘れとった』
『僕は野球は特に……』
『サッカーか？』
お父さんの眉がつり上がったので吹き出しそうになる。
野球ファンにとってサッカーは敵なのだ。
『いえ、サッカーも特に』
『もう、あなたいい加減にしてあげてよ。この子たち忙しいんだから混ぜ返さなくても』
お母さんの仲裁も入り、僕たちは百貨店についていくと言い張るお父さんを振り切って帰ったのだった。
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