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「ジョージはどう思う?」
頭脳の回転なら操縦者候補で一番のはずのジョージが一瞬黙りこんだ。
「ぼくは思考力が遅延されているような感覚はなかったような気がする。タツオは?」
「ないような気はするけど、肉体の動きが極端に落ちているので、通常の状態より思考のスピードが落ちている可能性はある。時間という絶対的な尺度が狂うんだから、思考や知性にも影響はあると考えておいたほうがいいかもしれない」
「おれのことも忘れんなよ」
そういったのはテルだった。いつの間にか厚切りのローストビーフの皿をもって戻ってきていた。
「あの術の恐ろしいところは、静止した身体と普通に動いてる心の速度のギャップだと、おれは思うな。誰でも最初はパニックになる。あのおかしな拍子を聞かされた瞬間、植物化されたみたいに動けなくなるんだからな」
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