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ジョージが眉(まゆ)をひそめていった。
「どちらにしてもこれから『呑龍』の解析と対策を練らなければいけないね。そのときは萬家のお力も貸していただけますか」
混血の天才がまっすぐに切りこんだ。タツオも萬家の力をよく知らない。近衛四家は東の東園寺家・逆島家が武力で、西の天童家・萬家が呪術や軍事テクノロジーで万世一系の女皇に仕えてきたが、東とは異なり西の二家は正体がはっきりとしなかった。
不安げに妹のカケルがいった。
「お姉ちゃん、どうする?」
姉のミチルが質問し返す。
「あなたはどう思う?」
小柄なカケルがアーモンド型の目を輝かせていった。
「わたしはこの人たち、いい人だと思う。手を組んでも悪くないよ、きっと」
「じゃあ、いいわ、菱川少尉。うちの姉妹では妹が直感やセンスで、わたしが論理や決断の担当なの。カケルの直観はまずはずれたことがない。東園寺と手を結ぶなら、あなたたちのほうがずいぶんとましみたいだしね」
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