亡国の姫君

2/10
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
ーーー あるところに 豊かで美しい国がありました。 国を治める王様は優しく、皆に好かれていました。 けれどある日、不慮の事故でお妃様が亡くなると、 王様はショックのあまり人格が変わり、戦好きで民を苦しめる暴虐な王様になってしまいました。 お城にはエリーニという名で六歳を迎えたばかりのお姫様がいましたが、 王様は亡くなったお妃様の次にエリーニ姫も事故に遭うのではとひどく心配になり、 思い悩んだ末、ついには姫を城の奥、限られた者以外立ち入ることのできない場所へ、閉じ込めてしまいました。 王様の変貌と狂気な行いに、民は嘆き悲しみ、やがて国民は王様を憎むようになり、国には王様の命を狙う者たちが現れ始めました。 そんな国民に、王様は怒りと苛立ちを募らせ、益々暴君になっていきました。 その一方で、 城の奥で暮らすエリーニ姫は、聡明で美しく、心の優しい少女へと成長していきました。 そして十歳のころになると、 姫は王様を諌め、昔のように戻ってほしいと必死に訴えるようになりました。 けれど王様がエリーニ姫の言葉を受け入れることはありませんでした。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!