銀縁眼鏡と黒縁眼鏡

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「なんでそんなこと思うの?」 冷たい佑真の視線に、背中を気持ち悪い汗が滑り落ちる。 「だって、佑真にキスされたって全然嬉しくないどころか……嫌、っていうか」 心臓がばくばくと激しく鼓動する。 なに聞いてるんだ私、って叱り飛ばしたい心境。 しかし、後悔したってしょうがない。 「どこまで思い出した?」 「え、あ、全然思い出せてはないけど」 顎を掴まれ、無理矢理上を向かせられ、視線をあわされた。 レンズの向こうの瞳が、怯える私に加虐的に笑う。 「せっかくぜーんぶ忘れちゃってたから、優しくしてあげたのに。 もうお終いだね」 「あの、どういう……?」 「やっぱりその眼鏡が失敗なのかなー? それ与えとけば知重がおとなしくなるから持たせてたけど。 やっぱり捨てちゃおうね?」 佑真のあいている方の手が、胸から下がってる眼鏡を掴んでチェーンを引きちぎった。 ずっと視線を逸らせずにいる私に見せつけると、それをそこらにぽいっと投げ捨てた。 「もう優しくなんてしないからねー?」
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