〔十一〕プロダクションブレーブ

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 亜矢は血走った眼で同じ事を呪文のように呟き続ける。  息が苦しくなり、全身が痺れたように感じ始めた。間もなく意識が無くなるだろう。  とその時、何者かが亜矢の手を無理やり刹那から剥がした。 「竹田さん……」 「もう、いいっスよ、御堂さん」  そう言い終えると、竹田は亜矢の顔面を拳で殴りつけた。  くぐもった悲鳴が上げて、彼女は倒れた。 「な、何するのッ?」  鼻血を垂らしながら竹田を睨み付ける。 「それ以上は止めて、後は警察に……」 「わかってるっス。御堂さん、知ってるんでしょ、オレと(かず)()のこと?」 「ええ、調べました」 「巻き込んじまって、申し訳ないっス。ヨコハマ映像に来たときには、もう……」 「いいえ、あの時気付いていれば、大西さんを死なせずに済んだ」 「そうっスか……オレにとっては(ぎよう)(こう)だったのかな……」 「それは違います。何が起こるか薄々気付きながらも、あなたはここに来た。それはあなたが苦しんでいた証拠でしょう?」 「………………………………」  竹田は亜矢を見下ろしたまま、下唇を噛みしめた。 「ちょっとッ、何の話しをしているのッ? あの〈影〉は珠恵じゃないの?」 流れ続ける鼻血を押さえながら、会話について行けない亜矢が声を上げた。 「いいえ、〈影〉は篠原珠恵、本名、(たけ)()(かず)()さんよ」 「竹田……」 「オレの妹だ。  和子は、意識不明のまま今でも病院のベッドの上にいる。そして突き飛ばしたアンタは、アイツの代わりにネット番組に出演している。許せなかった、許せるわけないだろ」 「………………………………」 「どうやって、安部と彼女がしたことを知ったんですか?」 「和子が事故現場に事務所の後輩と一緒にいたのは、警察から聞いて知っていたっス。それがこの『鳴滝亜矢』だって知ったのは、ヨコハマ映像に所属した直後に大西の口からっス」
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