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「事故の後、芦屋満留がヨコハマ映像に行ってますね、その時何も言わなかったんですか?」
「もちろん言いました。そもそも事故が呪いのせいなのかって。
そしたら『そうだ』って、そして『途中で呪いは止められない』って」
実際、その直後に大西が自殺をした。
満留は竹田に鬼になれと言った、復讐の鬼に。そうしなければ妹の無念は晴らせない。
怯えながらも彼は犠牲者に目をつぶり、呪いの進行を放置した。もう、後戻りは出来ないのだ。
「本当は誰かに止めて欲しかったんっス、だからここに来たんスよ。でも、それでも呪いは……」
「解けます」
そう言って刹那は小さな袋を取り出した。
「この中に呪いに使われた物が入っています。これをあなたが燃やせば、呪いは解けるはずです」
「ホントっスか?」
「たしかな筋に確認したので間違いありません。燃やしてくれますか?」
「はい、もちろんっス」
刹那は消火用のバケツを用意した。
その上で竹田は呪いに使われた髪の毛と血を燃やした。
すると亜矢のそばに立っていた〈影〉の姿が薄らいでいき、やがて視えなくなた。
自分の身体に帰ったのね。
パトカーのサイレンが近づいてきた。
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