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満留は頬を歪め嘲った。
「フフフ……あなたに何ができるの? あなたも言ったでしょ、呪術で人を殺しても犯罪にはならない。警察は何の役にも立たないわよ。それともあなたが私を裁くつもり」
刹那は不適に微笑んだ。
「あんたを裁くことは出来ない、そんなこと解ってる。でもあたしにだってやれることはある」
「何をやれるって言うの?」
「あんたの評判を落とす事よ」
「えッ?」
「今回の件が知れれば、あんたの顧客、確実に減るわよね?
だって霊視が出来るだけの素人に呪いを破られて、依頼を達成できなかったんだもの、誰がそんなポンコツ陰陽師にギャラを払うのかしら?」
「そんなことをしたら……」
「あたしを呪い殺す? 言っておくけど、あたしにはブレインが居て、そっちはちゃ~んとした拝み屋よ。あたしが死んでも、そっちがあんたの無能っぷりを宣伝してくれるわ。
ああ、それとあたしが霊能者だって事リークするとかも意味ないから。知っていると思うけど、あたし超マイナーだからバラされても大して影響ないし」
満留は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「いい気になっていられるのも今のうちよ」
「ご忠告ありがとう」
捨て台詞を残して満留は再び闇に消えた。
「さて、リョータさん、後はあなた次第です。
あのポンコツに頼り続けますか? それとも手を切って実力で勝負しますか?
どっちにしろハッピーエンドは待っていないでしょう。
あたしにはどうすることも出来ません。
まぁ、あたしの現状を見れば言わずもがなですけどね」
「………………………………」
リョータは自分のつま先を見つめながら沈黙した。
「それではあたしは事務所に戻ります。今日は本当にお疲れ様でした」
頭を下げると事務所の建物に刹那は戻って行った。
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