〔十二〕事務所前

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 満留は頬を歪め嘲った。 「フフフ……あなたに何ができるの? あなたも言ったでしょ、呪術で人を殺しても犯罪にはならない。警察は何の役にも立たないわよ。それともあなたが私を裁くつもり」  刹那は不適に微笑んだ。 「あんたを裁くことは出来ない、そんなこと解ってる。でもあたしにだってやれることはある」 「何をやれるって言うの?」 「あんたの評判を落とす事よ」 「えッ?」 「今回の件が知れれば、あんたの顧客、確実に減るわよね?  だって霊視が出来るだけの素人に呪いを破られて、依頼を達成できなかったんだもの、誰がそんなポンコツ陰陽師にギャラを払うのかしら?」 「そんなことをしたら……」 「あたしを呪い殺す? 言っておくけど、あたしにはブレインが居て、そっちはちゃ~んとした拝み屋よ。あたしが死んでも、そっちがあんたの無能っぷりを宣伝してくれるわ。  ああ、それとあたしが霊能者だって事リークするとかも意味ないから。知っていると思うけど、あたし超マイナーだからバラされても大して影響ないし」  満留は苦虫を噛み潰したような顔をした。 「いい気になっていられるのも今のうちよ」 「ご忠告ありがとう」  捨て台詞を残して満留は再び闇に消えた。 「さて、リョータさん、後はあなた次第です。  あのポンコツに頼り続けますか? それとも手を切って実力で勝負しますか?  どっちにしろハッピーエンドは待っていないでしょう。  あたしにはどうすることも出来ません。  まぁ、あたしの現状を見れば言わずもがなですけどね」 「………………………………」  リョータは自分のつま先を見つめながら沈黙した。 「それではあたしは事務所に戻ります。今日は本当にお疲れ様でした」  頭を下げると事務所の建物に刹那は戻って行った。
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