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「まったく、今回は散々だったわ」
好恵が頬杖をつきながら大きな溜息を吐いた。
事件解決の翌々日、ブレーブは大分落ち着いてきた。
安部の暴力沙汰だけなら大した騒ぎにならなかっただろうが、亜矢が篠原珠恵を突き飛ばしていたのは大問題だ。
好恵も警察に呼ばれた。しかし、ブレーブの事務所で明らかになった事とはいえ、好恵の知る由もないことだ。
ただし、カガワエージェンシーとの仲は最悪になっている。
下手をすると今後仕事でブッキングした場合、どちらかが降りることになりかねない。そうなると弱小のブレーブが不利だ。
漏れてきた情報からすると、亜矢は所属解除、安部は解雇になるらしい。
安部に関しては、亜矢が愛人関係にあったことを暴露した事が原因だ。今回は呪術で誤魔化すことが出来なかったようだ。
「悪かったわよ、色々と」
刹那が不満げに言う。
恐らくまた早紀が敏腕振りを発揮して、何とかするだろう。いや、何とかして欲しい。
「そう思うなら、何で鬼多見さんに代わってもらわなかったのッ?」
「そっちッ?」
「当たり前でしょうッ」
「社長、取りあえず今回は無事でしたし……。
それより刹那、芦屋への対策は大丈夫なの?」
早紀が愛情過多から来る叔母と姪のケンカをさり気なく仲裁した。
「鬼多見さんからこれが送られてきました」
バッグから封筒を取り出して、中身を早紀に渡す。
「これは……お守り?」
「そうみたい」
鬼多見が送ってきた封筒に入っていたのは、小さな巾着だった。
「こんな物で、芦屋の呪術を防げるのでしょうか?」
「たぶん……」
早紀が溜息を吐いた、刹那も同じ気分だ。
「それってさ、請求書入ってなかったけど、ロハなのかしら?」
「おばさんッ、ここでケチるッ?」
「それはそうなんだけど……」
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