第1章

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 再び視聴者からコメントが届く。 “犯人はどこに逃げたんだ”や“案外近くにいるかも”とか“怖いこと言うな”と言った犯人が近所を彷徨いていそうなコメントが多かったが…… スタジオの一同はあるコメントに目を疑った。  “犯人は法条アナの真後ろにいる”  “法条アナ…テレビで観るよりずっと綺麗だな”  “細い首筋…絞めたい”  「このコメントは、法条アナ。大丈夫ですか?」  現場の法条とコンタクトを取ろうとするが。  「落ち着いて下さい。これは多分。視聴者の悪ふざけか悪戯でしょう。報道に支障を来せば威力業務妨害になりますが冷やかしの段階なら無視すればいい」  「でも。本当だったらどうするんです?」  「よく考えて下さい。犯人の少年が法条アナの後ろにいるのに、どうして彼女は平気なんですか!」  スタジオで口論が起こる。  「報道を中止して警察を向かわせましょう」  「嘘だったら我々が嘘の報道をしたとまた非難を受ける事になります。あなたは報道で嘘を吐く積もりですか?」  「そう言いますが、ツイキャス報道の視聴者がいなくなるのが怖いんじゃないんですか? 結局視聴率稼ぎだったんですね?」  「それは――」  「きゃあああああ!」  法条アナの悲鳴が喧騒を中断させた。
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