第5章
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少し遠慮がちに中へ入ろうとしたアントワは、しかしその場で立ち止まってしまった。 「どうなさいました」 男に尋ねられて、アントワは慌てて振り返った。 「いえ、何でもありません。とても美しい部屋なので…」 「先日、オイゼビウス様のお好きな色に壁を全て塗り替えたばかりなのです」 男はそう小声で返すと、一礼して去っていった。
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