3人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、そんなに質問攻めしちゃ答えられないだろ!」
最年長と思わしき少年が一喝すると、全員が黙った。
「よし。まず、身体は大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。・・・助けてくれてありがとう。」
「当然よ!」
ここにいる子供たちのリーダーなのだろう。
僕に向けた笑顔は優しくて安心できた。
「名前はなんていうんだ?」
「名前・・・?」
そういえば、僕の名前はなんだ?
思い出せない。
雪の中で倒れていたことが新しい記憶で、それ以外はちっとも覚えていない。
「え、と・・・。わからない。」
その答えに子供達はざわついた。
「覚えてないのか?じゃあ、自分に関すること。なんでもいい。覚えていることはないか?」
何度聞かれてもこう返すしかない。
「ごめんなさい。何もわからないんだ。」
「そうか・・・。取り敢えず後のことは飯食いながら話そう!シチューが出来上がったところだ!」
その言葉を聞いた子供達は嬉しそうにはしゃぐ声を出し、一目散に準備を進めた。
テーブルに座ると1つ席が空いている。
「そこがお前の席だ。座りな」
僕が座ったと同時に奥から人型の木製ロボットがシチューの入ったヤカンと人数分の皿を持ってやってきた。
最初のコメントを投稿しよう!