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ロボットは効率よく皿に盛り付けをしてあっという間に全員分準備された。
「さて、それじゃあ皆さん手を合わせてください」
合掌すると全員が一斉に
「頂きます!」
と元気よく叫んだ。
子供達はまるで飢えた動物のようにシチューを口へ掻き込んでいく。
「喉に詰まらすなよー」
リーダーの少年は落ち着いて食事をしている。
「名前、思い出せないんだったな。不便だから俺らで名前付けていいか?」
僕は小さく頷いた。
「それなら雪の中から出てきたみたいだから、ユキトっていうのはどう?」
子供達の中で唯一の女の子が即座に答えた。
彼女もリーダーの少年と同い年くらいに見える。
「ユキト・・・。うん、いいんじゃないか?本人はどうだ?」
ユキト。
なんだか嬉しかった。
全く何も思い出せなくて、自分が何者でもない気がしてたから、存在が認められた気がして。
その気持ちが思わず顔にでてしまったのだろう。
「うん、気に入ったみたいだな。」
「よろしくな、ユキト!」
「ユキト!」
いつの間にか完食した子供達は次々と名前を呼んでくれた。
「ユキトもシチュー食べなよ」
促されて食べた温かいシチューの味は、きっと一生忘れない。
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