小説家は愛を囁く

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 乱暴な態度。無意識に何か彼を怒らせるような事をしてしまったのだろうかと慌てる。 「俺、何か君にしてしまったかな」 「別に、何もねぇです」 「だって、眉間のしわがすごいよ」  と乃木の指が眉間へと触れ、それを勢いよく払い除ける。 「触らねぇでもらえませんかね」 「百武君」 「家に帰ったらどうですか。さっきの子が待っているんでしょう?」 「いや、今帰ると、寧ろ、邪魔って言われるかもな」 「兎に角、俺は帰り……」  百武の言葉を遮るように、 「あぁ、そうか。君、嫉妬してるのか」  と言葉を重ねた。 「はぁ、何、寝ぼけたことを言っているんですか!!」 「え、だって、イライラしているのはそういう事でしょう?」 「自惚れねぇでください」 「これが自惚れずにいられますかってぇの」  目を細め口角を上げる仕草はかっこよく。思わず胸が高鳴ってしまい、それを誤魔化すように、 「なら、勝手にどうぞ」  とそっけない態度をとる。 「なら、自惚れついでに、掃除が終わるまで喫茶店で一緒に待っていないか? 家に君を招待したい」  ダメかなと両手を握りしめられる。 「自惚れついでって、なんですか、それ。まぁ、どうせ拒否権なんてねぇんですよね?」 「うん」 「はぁ、わかりました」 「やった。じゃぁ喫茶店に戻ろう」 「はい」  再び戻ってきた二人を、江藤は微笑みながら向かい入れる。  カウンターの席に並んで座り、先ほどと同じメニューを頼んだ。
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