彼岸の終わりに

40/64
5725人が本棚に入れています
本棚に追加
/475ページ
それはもちろん、この美紀ちゃんの事だってそうだ。 パパやママだって信じてくれるわけがない。 「……難しいね。美子にはわからないよ。何を考えれば良いのか」 一応話は全部繋がった……繋がってしまった。 少しでも美紀ちゃんはやってないって事を証明したかったのに、幽霊の話を出されるとお手上げだよ。 「でも、アレの目的は、人を殺す事じゃないから。それはただの手段に過ぎないの」 「……この前、夢で美紀ちゃんが言ってたやつ?あの夢ももしかして、黒いアレが見せてたの?」 もうここまで来たら何でもありに思えてきた。 人を操って殺す事が出来るなら、夢の中にだって出てこられるだろう。 「そう、小さな命がバランスを崩して、死の穢れが美子ちゃんの力を弱めた。アレは、このタイミングを逃さなかったの」 「小さな命って、赤ちゃんの事だよね。バランスって、何のバランスなの?」 「陰と陽のバランス。美紀が悪い何かを引き寄せてしまう『陰』、美子ちゃんが悪いものを払う『陽』、家族全体のバランスを見ると、陽の方が強かったはずなんだけど……あの日、ママが帰って来たから」 陰と陽……って何だろう? 話から察するに、良いものと悪いものって考えれば良いかな?
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!