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「何って、一緒にお風呂に入ろうと思って来たら、耳を塞いでるから」
「あ、そ、そう……うん。わかった、ちょっと待って」
びっくりした。
美紀ちゃんは、いつもこういう事をするから、私はいつも驚いてしまう。
怖がりの私には、絶対に慣れないタイミングで美紀ちゃんがやって来るのだ。
さっきの音だって、怖がらせようと美紀ちゃんがわざとやっているんじゃないかと思ってしまう。
少し怯えながらも、タンスから替えの下着とパジャマを取り出して、ゆっくりと振り返る。
相変わらず美紀ちゃんはニヤニヤと笑っていて、私が怖がっているのを楽しんでいるみたいだ。
もう……変に怖がらせるのはやめてほしいよ。
「おまたせ。行こっか」
「……うん」
小さく頷いて、部屋を出る美紀ちゃん。
少し不気味に思えるけど、小さい頃にママに言われた事がある。
それが、今でも私の頭の中に残っていて、守らなきゃと思うんだ。
美紀ちゃんは……悪い何かを引き寄せてしまう体質で、双子の私がいることでそれを防いでいるって。
だから、いつも一緒にいてあげてねって言われたから。
私がいれば、美紀ちゃんは悪い何かを引き寄せないで済むんだと考えていた。
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