5750人が本棚に入れています
本棚に追加
ど、どうして……。
手を離したのに、ひとりでにドアノブが回っている。
目の前で起こっている事が信じられずに、何もする事ができない。
まだ寝惚けている頭で、考える事ができないのだろうか。
それでもドアノブは、回るのをやめなかった。
そして……。
ドアが開かれた。
ギイィィィィ……と、油が切れて、悲鳴のように聞こえる音を上げながら、私の方に向かって来る。
何が起こっているのかわからない。
だけど、恐ろしい事が起こっているんだと、身体が理解している。
全身を、冷たい手で撫で回されているかのような不快感が包む。
「な、何……何が……」
私の左肩をかすめるように開かれたドア。
廊下には……誰もいない?
一体何が起こって、ドアが勝手に開いたのかわからない。
恐る恐る廊下を見ても、誰もいる気配はないし、いた形跡もなかったのだから。
「ま、また美紀ちゃんのいたずらだよね」
そう考えた方が、怖くなくて済む。
こんな夜中にいたずらされるのは腹が立つけれど、きっとそうだと思い、廊下に顔を出して隣の部屋の方を見た。
すると私の目に……思いもよらない物が映ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!