呪われた邂逅

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二人の時間……この家に越して来るまでは、私と美紀ちゃんは同じ部屋で寝ていて、本当にいつも一緒だった。 だけど、この家に来てからは、別の部屋を使うようになって。 その頃から美紀ちゃんは病気にかかりやすくなった。 大きな病気はないものの、毎年冬になれば風邪をひいて何日も寝込むし、月に二回くらいはこうして気分が悪くなってしまう。 私が違う部屋にいるからかな? とも思ったけど、詳しい事はわからない。 ママが言った、美紀ちゃんは悪い何かを引き寄せてしまう体質だという言葉が気になるところだけど、一日や二日一緒にいなくても大丈夫だから、難しく考えなくても良いよと優しく言ってくれたのも覚えてる。 ずっと一緒にいたら、美紀ちゃんは美紀ちゃんのままでいられるのかな。 夜になると現れる、不気味な美紀ちゃんが現れずに済むのかな。 なんて、他の人が聞いたら、「頭がおかしいんじゃないか?」と言いそうな事を本気で考えていた。 「美子ちゃん、7時だよ。晩ご飯の時間だから行ってきなよ。美紀ちゃんはちょっと眠るから、晩ご飯はいらないって言っておいて」 壁に掛けてある時計を見て、そう言った美紀ちゃん。 私は頷いて手を放し、ダイニングルームに向かう為に部屋を出た。
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