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薄暗い廊下を歩いていると、ちひろちゃんが言った言葉をふと思い出してしまった。
どうしてこの家に来ちゃダメなんだろう。
危ないからって言われたらしいけど、それはどういう意味なのかな。
そんな事を考えると、この家の構造上どうしても影になってしまう場所が不気味に思えてしまう。
美紀ちゃんを狙う悪い何かがそこに潜んでいて、襲い掛かる機会を伺っている……なんて。
階段に差しかかり、一段一段下りて行く。
晩ご飯の時間になったからか、リビングの方からおじいちゃんとおばあちゃんが歩いて来て、私に気付かずにダイニングルームへと向かった。
パパとママはもう、席に着いてるのかな。
きっと、今日の食卓の話題は学校であった事だろうな。
食事中にする話ではないとわかっていても、あまりにも大きすぎる出来事だから。
私は、何を言えば良いんだろう。
美紀ちゃんの事は言わない方が良いよね。
重い足取りでダイニングルームの前までやって来て、ドアを開けた。
もう皆席に付いていて、室内に入ると同時に私は美紀ちゃんに言われた事を伝えた。
「美紀ちゃん、気分が悪いからご飯いらないって。寝るって言ってた」
だけど……皆は、不思議そうな表情を浮かべて、一斉に私を見たのだ。
「美子、何を言っているんだ?美紀と一緒に来てるのに」
パパが指差した先、私の後ろには、不気味な笑顔を浮かべた美紀ちゃんが立っていた。
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