呪われた邂逅

94/100

5735人が本棚に入れています
本棚に追加
/475ページ
「ごちそうさまでした。美子ちゃん、部屋に戻ってるね」 出された食事のほとんどを食べて、箸を置いて立ち上がる。 美紀ちゃんはまだ半分くらい。 今なら……部屋で寝ているかどうかが確認出来る。 ダイニングルームから出て、リビングに続く暗い廊下に目を向けた。 相変わらず夜になると怖い。 ただ真っ暗なだけのその空間が、うねうねと動いてこちらに迫ってくるような……そんな気がしてしまうから。 「気持ち悪い……」 ボソッとそう呟き、私は階段へと走った。 緩やかだけど長い階段を、トントンと足音を立てながら上って行く。 この天井の高いエントランスホールも、夜は上の方が暗くて、何かが降って来そう。 ダメだ、怖いことばかり考えてちゃ。 四年間この家で暮らしていて、何も変な事は起こらなかったじゃない。 だから、これから先も大丈夫……。 今、美紀ちゃんの身に起こっている事も、すぐに解決するはずと願って、二階に到着した。 いつもなら、すぐそこにある自分の部屋に入るのだけれど、今日は違う。 一つ先の美紀ちゃんの部屋。 私の部屋を通り過ぎて、美紀ちゃんの部屋のドアノブに手を伸ばし……それを回してドアを開けた。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5735人が本棚に入れています
本棚に追加