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照明がついたままになっている部屋。
廊下側の壁に寄せられているベッドの上に……眠っているはずの美紀ちゃんはいなかったのだ。
「……いない?じゃあ、さっきのは本当に美紀ちゃんだったの?」
いよいよよくわからなくなって来た。
美紀ちゃんの話を聞く限りでは、友光くんと城口先生が屋上から飛び降りた時、眠ってたんだよね?
その夢の中で、美紀ちゃんは二人に手を伸ばして歌を歌っていた。
「夢を見ていたと思っているだけで、本当は美紀ちゃんがやっていたの?でもそれだと……」
ちひろちゃんは、ずっと美紀ちゃんは眠っていたって言ってたし、嘘をつく必要なんてないんだよね。
ここに美紀ちゃんが寝ていたら、ダイニングルームに現れた美紀ちゃんは別の何かだってわかったのに。
やっぱり、夜になったら照明の関係で不気味に見えるだけなのかな。
おかしいなと思いながらも、ベッドに美紀ちゃんがいないという現実を、私は受け止めるしかなかった。
元気になったのならそれで良い。
パパに訊きたい事もあるし、一階に戻ろうと振り返ると。
私の真後ろに、俯き気味にニヤニヤ笑う美紀ちゃんの姿があったのだ。
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