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「ひゃっ!」
足音も聞こえなかったし、私が階段を上っている時にダイニングルームのドアも開かなかった。
それなのに、この短い時間でどうやってここに。
「どうして驚いてるの?ここは美紀ちゃんの部屋だから、入ろうとしただけなのに」
「う、うん……美紀ちゃんを待ってた……んだ」
どう返して良いかわからずに咄嗟に嘘をついたけど、美紀ちゃんはそれを疑ってはいないみたいで。
私の横を通って、部屋の中に入って行った。
「そうなんだ?そう言えば、美子ちゃんの大事なミミちゃんもここにいるしね」
晩ご飯に呼ばれた時に、ベッドの上に置いたままになっていたミミちゃん。
それを抱き上げて、私に渡してくれる。
「あ、ありがとう」
こうして見ると、いつもの美紀ちゃんだと思えるんだけど……疑問は解消されていない。
「み、美紀ちゃん。さっき気分が悪いから、晩ご飯はいらないって言ってたよね?そう言っておいてって」
「ああ。言ったけど、やっぱりお腹が空いてたから。気分が悪くても、食べた方が良いと思って」
「そ、そう……」
言ってる事はおかしくないと思うんだけど。
何が嘘で、何が本当なのか、わからなくなっていた。
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