5728人が本棚に入れています
本棚に追加
/475ページ
結局、パパの怪奇話に火を点けてしまっただけで、散々色んな話を聞かされ、気付けば9時前。
「はいはい、もうお話はここまでにしましょ。美子ちゃんもお風呂に入らなきゃならないのに、いつまでもあなたのオカルト話に付き合ってられないわ」
今まで黙っていたママだったけれど、さすがに痺れを切らしたようで。
パパの話を遮るように手を叩いて立ち上がった。
何度も私があくびをしていたのを見て、眠そうだと思ったのかな。
今からお風呂か……美紀ちゃんがあんなだし、二人で入るのも一人で入るのも怖いよ。
「こんな時間だし、美子ちゃんは久し振りにママと一緒に入りましょうか」
思ってもみないママの言葉に、私は嬉しくなった。
自分から言い出すのは甘えてるみたいだし、かと言って一人で入りたくなかったから。
「う、うん!」
笑顔でそう答えて、椅子から下りた。
これで今日は怖がらずに済む。
悩みも全部忘れて、ママと一緒に入るお風呂の事で頭がいっぱいになった。
「じゃあ、お着替えを取りに行きましょうか。美紀ちゃんはもう寝てるかしら?」
そして私は、ママと一緒にダイニングルームを出て、二階に上がった。
最初のコメントを投稿しよう!