呪われた邂逅

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結局、パパの怪奇話に火を点けてしまっただけで、散々色んな話を聞かされ、気付けば9時前。 「はいはい、もうお話はここまでにしましょ。美子ちゃんもお風呂に入らなきゃならないのに、いつまでもあなたのオカルト話に付き合ってられないわ」 今まで黙っていたママだったけれど、さすがに痺れを切らしたようで。 パパの話を遮るように手を叩いて立ち上がった。 何度も私があくびをしていたのを見て、眠そうだと思ったのかな。 今からお風呂か……美紀ちゃんがあんなだし、二人で入るのも一人で入るのも怖いよ。 「こんな時間だし、美子ちゃんは久し振りにママと一緒に入りましょうか」 思ってもみないママの言葉に、私は嬉しくなった。 自分から言い出すのは甘えてるみたいだし、かと言って一人で入りたくなかったから。 「う、うん!」 笑顔でそう答えて、椅子から下りた。 これで今日は怖がらずに済む。 悩みも全部忘れて、ママと一緒に入るお風呂の事で頭がいっぱいになった。 「じゃあ、お着替えを取りに行きましょうか。美紀ちゃんはもう寝てるかしら?」 そして私は、ママと一緒にダイニングルームを出て、二階に上がった。
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