穢れ

2/63
5727人が本棚に入れています
本棚に追加
/475ページ
着替えを持って、ママと一緒に久し振りのお風呂。 美紀ちゃんはもうとっくにお風呂に入って寝ているみたいで、ママを独り占め出来る事がちょっと嬉しかった。 パパとママがいない間に起こった出来事が、今やっと話せるのが楽しくて嬉しくて。 お風呂に入った事はあまり覚えていない。 私が覚えているのは、ママの優しい笑顔だけだった。 「おやすみなさい、美子ちゃん」 お風呂から上がり、部屋に戻った私を、いつもの子守唄で寝かし付けてくれたママ。 眠りに落ちても、その声だけははっきりと聞こえた。 ママがいない時はいつも寂しくて、ジメッとした空気の中で寝ていたような感じがしていたけど、今はなんて爽やかで寝心地が良いんだろう。 私達を優しく照らしてくれる太陽のようで、ママがいたら世界が変わって見えた。 そんな、満ち足りた気分で眠る私の耳に、いつもの音は当然の如くやって来た。 ギシッ……。 ギシッ……。 今日はずいぶん遅い時間なんだな。 パパと話していて、この部屋にいなかったから、私がいる時間にやって来たのかな? だけどお生憎様、私はもう寝るんだから。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!