穢れ

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真っ暗な部屋の中、目に映るのは天井。 だけどその右上に、黒くて丸い影が映り込む。 それは、徐々に面積を拡大して行って……。 天井から、黒い影に焦点が合った時、それが美紀ちゃんの顔だという事に気付いた。 驚いて悲鳴を上げたいけれど、声が出ない。 昨日も見た美紀ちゃんの夢に意外性はなかったけれど、恐ろしさは変わらず襲い掛かって来たのだ。 「……もうすぐ終ワル。昨日まではお前ニ触れられもしナかった」 声が……美紀ちゃんじゃない! いや、美紀ちゃんの声も混じっているけど、冷たくて重い声が一緒に聞こえてる。 「う……ん……うぅ……」 なんとか、この状況から抜け出そうとしても、全然身体が動かないし声も出せないよ! やめてやめてと心で叫ぶ。 助けて、パパ、ママと呼んでみても声が出ない! 「小さナ命がバランスを狂わセた……穢れがお前の力を弱めた……だかラ今は、夢の中なラ触れられル」 そう言って、不気味な笑みを浮かべ、私の胸に美紀ちゃんは手を置いた。 心臓のある場所を、嬉しそうに撫で回して。
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