穢れ

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ミチミチと肉が裂ける音が、ゴリゴリと骨が砕かれる音が、身体の中から聞こえて頭がおかしくなりそうだ。 指が動くたび、全身に激痛が走る。 動かない身体が、痛みにだけは反応しているようで、ビクンビクンと跳ねるように震える。 どれくらいの痛みに耐えただろうか。 もう、考えるのも嫌になるくらい弄ばれて……早く殺してほしいとさえ思うようになった頃、美紀ちゃんの指が止まった。 「ほラ、綺麗な心臓が見えル。生きたい生きたイと必死に動いテいる」 そう言って美紀ちゃんは、私の胸に手を入れて、ゆっくりと心臓を掴み上げた。 開いた傷口から、動いている心臓が取り出される。 身体の内側を引っ張られている感覚はこれで二度目。 こんなの、何度も味わいたくないよ……。 これで終わりにして。 そう強く願いながら、昨日の夢と同じく、美紀ちゃんの手の中で心臓が飛び散る光景を眺めていた。 私が思っていたのは一つだけ。 ああ、やっと死ねるんだ。 それだけだった。 この夢は何なのか、美紀ちゃんの姿をしているこれは何なのか……。 色んな事を考えてはみたけれど、痛みから解放されるなら、なんだって良かった。
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