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……生きてる。
昨日と同じく、目を覚ましてすぐに胸に手を当てた私は、傷がない事を確かめて安堵の吐息を漏らした。
部屋のドアは閉じられている、パジャマのボタンも弾けていない。
夢だとわかっていても、本当に殺されたかと思うような痛みは、現実と混同させる。
小さな命と穢れ……か。
夢の中での事なんだから、きっと意味なんてないと思っていても、どうしてもその言葉が引っ掛かっていた。
「穢れって……なんだろう」
ぼんやりと天井を見ながら呟いた言葉。
私が生きているという証拠。
夢の中であれだけ痛くて苦しいんだから、本当に死んだらもっともっと辛いんだろうな。
あんなに苦しい目には絶対に遭いたくない。
まだはっきりとしない頭を目覚めさせようと、上体を起こして窓を見た。
もう朝になっている。
左の方から朝日が照って、小鳥のさえずりも爽やかな朝に良く似合って。
嫌な夢を忘れる良い日にならないかなと、大きくあくびをした時。
……なんだか、お尻の辺りがべっとりと濡れている事に気付いてしまった。
あれ……嘘だよね?
私、もう小学五年生なのに。
え、ええっ!?
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