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「うわあああああん、ごめんなさいぃぃぃ!」
濡れたパジャマと下着を着替え、濡れたお布団を庭に干されるのを見ながら、私は泣き叫んでいた。
恥ずかしいのと、情けないのと。
この家に引っ越して四年、一度もおねしょなんてした事がなかったのに、どうして11歳になった今、してしまったのだろう。
「ほうほう、こりゃまた見事な地図を描いたもんだ。オーストラリアそっくりじゃないか。キャンベラはこの辺りかな?」
泣いている私を見て、パパは慰めようとしてくれたのだろうけど、それがより一層情けなく思えて、さらに涙が零れた。
「あなた!笑えない冗談はよしてちょうだい!もうしないわよね?来年にはお姉ちゃんになるんだから、おねしょなんかしたら赤ちゃんに笑われちゃうものね」
お布団を干して、私の前で屈んだママがニッコリと微笑んだ。
その言葉で、私は声を上げるのを止めた。
え?
美子ちゃん、お姉ちゃんになるの?
涙はまだ零れるけど、その言葉の意味をあまり理解出来ずに、ママとパパの顔を交互に見た。
「そうだぞー。ママのお腹の中には赤ちゃんがいるんだ。美子はお姉ちゃんになるんだぞ」
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