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「うーん……秋の風は気持ちいいわね。心地いい風が、身体を撫でてるみたい」
あ、ママ、同じ事を私も思ったよ。
麦わら帽子に水色のワンピース。
私や美紀ちゃんを、そのまま大きくしたようなママの姿が、何となく嬉しくて。
美紀ちゃんも嬉しそうに、ママと一緒に伸びをしていた。
「あ、おはようございます。松木一夫です」
私の他には誰もいないと思っていたのだろう。
ママと美紀ちゃんがわかりやすく慌てて、一夫くんがいる場所に顔を向けた。
「わ、わわっ!違うの一夫くん!これは……」
「わかっとるって、寝小便やろ?誰にも言わんから安心せえや!」
うん、美紀ちゃん……その気持ちは痛いほどよくわかるよ。
一番見られたくない人に見られたんだもんね。
どうして庭に干したりしたのって、ママに怒りたくなるよね。
でも、もう遅いんだ。
と言うか、一夫くんが来るのが早すぎるんだ。
こんなに早く来るなんて思わないもんね。
「うふふっ。元気なお友達ね。美紀ちゃんと美子ちゃんの同級生かしら?」
「うん……一夫くん」
がっくりと項垂れて、寂しそうに呟いた美紀ちゃん。
その姿から、かなり落ち込んでいるのがわかった。
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