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「ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさまでした」
食卓に並べられた料理を食べて、お腹いっぱいになった私は、手を合わせて和子おばちゃんに頭を下げた。
和子おばちゃんは、お手伝いさんとしてうちに来てくれている人で、優しくて料理が上手。
「美味しかったわ、和子さん。この煮物はどうやったらこんな味付けが出来るのかしら?今度教えてくださらない?」
「こんな庶民の味で良ければ、いつでもお教えしますよぉ奥様。お口に合うかいつも心配なんですから」
いつも食卓を囲むのは、おじいちゃんとおばあちゃんと、私と美紀ちゃん、そして和子おばちゃんの五人。
パパとママは、お仕事で家にはあまりいない。
「和子さんの料理は絶品だな。良い人を雇えたもんだ。後はもう少し、落ち着いてくれると助かるのだが」
フフッと笑って、和子おばちゃんを見るおじいちゃん。
「あらいやだ。こんな田舎者におしとやかになれなんて無理ですよぉ。そこは我慢してくださいな」
和子おばちゃんは豪快だ。
いつも笑っていて、小さな事は気にしない。
だからこそ、よそ者の私達に優しく接してくれているんだと思う。
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