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~二ヶ月後~
家を出た私と美紀ちゃんは、いつも窓から見ていた学校の、近くの土手で完成をずっと待っていた。
雨の日も、風の日も、美紀ちゃんは座っていて、私はその隣で立っているだけ。
ここを通る人の話からすると、パパ達は美紀ちゃんが死んだ後に、あの家から逃げ出したらしい。
ママがおかしくなり、入院する為という噂だけど……詳しくはわからないし、今の私にはどうすることも出来ない。
「……学校、完成したね。大きくなって行く事は出来なくなったけど、遊びに行こうね」
「アアアア……」
空はもう暗くなって、夜になっていた。
何日かぶりに声を出した美紀ちゃんと私。
恨みも憎しみも、美紀ちゃんに抑えられて、私にこれといった感情はなくなっていた。
そんな私達の前に、一人の男性が現れた。
工事が終わり、今日が最後の仕事だったのだろう。
土手に腰を下ろして、ポケットからタバコを取り出すと口にくわえて、その先端に火を点ける。
まさか、後ろに幽霊が二人もいるなんて思ってもいないだろう。
ふぅと煙を吹いて、完成した学校をぼんやりと眺めていた。
この男の人……見た事がある?
暗いのと、帽子を被っているのとで良くはわからないけど、そんな感じがした。
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