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「いい子ね美子ちゃん。お姉ちゃんの言う事をきいて。ここでいっぱい遊ぶの。鬼ごっことか、かくれんぼをするんだよ。それに、赤い服がほしいなら……誰かの血で真っ赤にしようね」
土手に腰を下ろしていた美紀ちゃんが立ち上がり、私に駆け寄って、手に持っていた心臓を取り上げた。
そして、雄蔵が飛んで行った方向に投げ捨てて、私と手を繋ぎ、満面の笑みを浮かべたのだ。
「あ、でも、今みたいに簡単に人が死んじゃったら面白くないよね。絶対に死なないようにしなくちゃ。美紀ちゃんと美子ちゃんの遊び場なんだもん」
「アアアア……」
美紀ちゃんは、この学校でどうやって遊ぶつもりなんだろう。
私はただそれに従うだけ。
遊ぶ為に作り上げた、美紀ちゃんの世界の中で……。
「え?美紗ちゃん?こんなに大きな学校だったら、大きなうさぎのぬいぐるみもきっとあるよ」
私の大事な美紗ちゃん。
でももう一つ、私には欲しいものがあった。
バラバラにされて、見付けられずに埋葬された、私の身体の一部。
その喪失感を、胸に感じていた。
「アアアア……美紀……ちゃん。カラダを……探して……」
その声は、美紀ちゃんには届かず。
楽しそうに歌っている姿が、お彼岸の日に幽霊花が咲き誇る中で聴いた、ママの子守唄を思い出させた。
幽霊花の……子守唄。
「ラーラララーラララララララー……」
「あ~かい ふ~くをくださいな~……」
そして、その記憶を最期に、私はこの学校で「赤い人」と呼ばれる悪霊となった。
end
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