壊れゆく日常

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私が……連れて行かれないように? 一体誰に、と思ったけど、すぐに視線を階段の横の廊下に向けた。 エントランスホールの照明の光が届かない、暗い廊下の奥。 何かがいるような気はするけど……良くはわからない。 「み、美紀ちゃん、怖い事を言わないでよ!」 吸い込まれてしまいそうな闇から目をそらして、再び階段に目を向けたけど……もう、そこに美紀ちゃんはいなかった。 階段を上がった足音は聞こえなかったのに。 今までそうじゃないそうじゃないと自分に言い聞かせて来たけど、さすがにこれはおかしいよね。 美紀ちゃんがおかしいのか、それとも……。 もう一度廊下の暗がりに視線を向けて、私は必死に考えた。 でも、答えなんて出るはずもなく、うーんと唸る事しか出来ない。 もしも、この答えが出たとして、私に何が出来るのか。 きっと、「何も出来ない」が答えなんだろうな。 ママに、美紀ちゃんから離れないでって言われたけど、その美紀ちゃんが怖くて。 どうして私がこんな怖い想いをしなければならないのかな。 怖いけど、ここにずっといるわけにもいかない。 早く部屋に戻りたいと、急いで階段を駆け上がった。
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