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カチャッ……。
カチャカチャ……。
ドアノブを回す音が聞こえる。
まさか、足音の主は部屋の中に入って来ようとしてるの?
「ダ……メだよ……」
口ではそう言っているけれど、身体はもう寝かかっていて動かない。
そして、ドアノブが回り、ゆっくりとドアが開いた。
キィィ……。
と音を立て、廊下の暗闇が広がって行く。
目を閉じているのに、なぜそれが見えるんだろう。
耳を塞いで、見たくも聞きたくもないのに、どうして。
そう思っていても、ドアはひとりでに開く。
ドアノブを持つ手が見えないのに。
何がいるのか、なぜドアが開いたのかわからない。
しばらくその状態で時間が流れ、何も起こらないと気を抜いたその時だった。
入り口の上の方。
明らかに大人でも届かない場所から、美紀ちゃんの顔が部屋の中を覗いたのだ。
目を見開いて、ジッと私を見ている。
身体が震えたけど声は出せず、それを見る事しか出来ない。
な、なんであんな位置に顔があるの?
私と同じ身長の美紀ちゃんだったら、入り口の真ん中くらいなのに。
そう思ったと同時に、美紀ちゃんはニヤリと笑い、部屋の中に入ってきた。
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