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「キャハハハハハハハハハッ!」
まるで蜘蛛のように、壁を這って部屋の中に侵入したそれは、間違いなく美紀ちゃん。
だけど……美紀ちゃんだと思いたくない!
強くそう思っても、身体が動かなくて。
壁から私に向かって飛び掛かった美紀ちゃんに、抵抗する事も出来ずに、ベッドに押し倒されたのだ。
と、同時に身体がビクッと動いて目が開いた。
「ハァ……ハァ……今のは……夢?」
視界に見えるのは天井。
押し倒されたと同時に目を覚ましたのか、ベッドの上で仰向けになっている。
それにしても、なんて酷い夢を見たんだろう。
いくら美紀ちゃんが怖いからって、あんな化け物みたいなものになるはずないのに。
今日は色々あり過ぎて、頭が混乱してるんだ。
しっとりと額にかいた汗を手で拭い、ママが来るまでにお風呂に入ろうかなと、身体を起こしてみると……。
ドアが……開いている?
嘘だ、さっきのは夢で、実際には起こっていないのにどうして。
開いたドアと、廊下の暗闇。
そして入り口から、部屋の中を覗く美紀ちゃんが笑って私を見ていたのだ。
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