壊れゆく日常

38/43
前へ
/475ページ
次へ
「ひやぁっ!あ、ああっ……」 夢の中の美紀ちゃんが怖かったせいか、声にならない声を上げて、慌ててベッドの上に足を上げた。 「美子ちゃん、どうして驚いてるの?一緒にお風呂行こう?」 廊下が暗かったからか、それともあんな夢を見たからそう見えたのか……。 不気味に思えた美紀ちゃんの笑顔は、昼間に一夫くんに見せているのと同じで、優しい笑顔だった。 いつも、夜に見せる不気味な笑顔じゃない。 「お、お風呂……う、うん。だけど美紀ちゃん、ノックくらいしてよね。びっくりするから」 「ノック?したよ?でも美子ちゃん、眠ってたから気付かなかったんじゃないかな」 ドアを開けた時には寝てたって事は、結構早いうちに横になってたのかな。 嫌な事や変な事が多くて、頭がどうにかなってしまいそうだよ。 その中で、美紀ちゃんが不気味じゃないのは良かった。 ご飯を食べた後はおかしく思ったけど、きっと、照明の当たり具合でそう見えたんだと信じよう。 今も、そうだったんだから。 ベッドから起き上がり、タンスから替えの下着とパジャマを取り出して、私は美紀ちゃんとお風呂場に向かった。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5746人が本棚に入れています
本棚に追加