小野山美子

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今のは……何? 暗い廊下を見ても、黒いモヤのような物は見当たらなくて。 怖い怖いと思っていたから、あるはずのない物を見てしまったのかな。 それにしても、美紀ちゃんが声をかけてくれて良かったよ。 「美紀ちゃんこそ、そんなところで何をしてるの?」 階段の途中、屈んで手すりの柱を持った状態で、ニヤニヤと笑っている。 ホールの照明に照らされて、その笑顔が不気味なお化けのようにも見えてしまう。 「待ってるの。パパとママが帰ってくるんでしょ?だから、ここで待ってるの」 フフフ……と笑い声を漏らして、私を見る美紀ちゃん。 和子おばちゃんの話を、廊下で聞いていたのかな。 でも、夜中に帰って来るとは知らないみたいだね。 私達が寝てる頃に帰って来るのにさ。 「パパとママは、寝てる時に帰って来るんだよ?だから待っててもダメ。明日にならないと会えないんだから」 「……そう。残念」 私がそう言うと、美紀ちゃんの顔から笑顔が消えて、スッと立ち上がった。 トントンと階段を上がり、自室へと戻る美紀ちゃんの後を追って、私も階段に駆け上がった。 壁沿いに設置されている階段を上り、二階へと。
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