小野山美子

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「ミミちゃん、聞いて聞いて!あのね、パパとママが今日帰って来るんだよ!私達が寝てる時にだけどね!」 二階に上がって、ダイニングルームの上にある一番手前の部屋。 私の部屋に戻って、ベッドの上にちょこんと座っている、うさぎのぬいぐるみのミミちゃんを抱き上げた。 5歳の頃、妹がほしいと駄々をこねて、ママに買ってもらったうさぎのぬいぐるみ。 今では、本当の妹のように大切にしている。 「美紀ちゃんも嬉しそうなんだよ。でもね、明日は学校があるから、お話出来るのは学校から帰って来てからかな」 うんうんと、相槌を打っているようにミミちゃんを動かして、話を聞いてもらう。 「あ、そうだ。学校の準備をして、お風呂入らなきゃ」 ミミちゃんに報告するのもそこそこに、再びベッドの上に置いて、机に歩を進めた。 宿題は終わっているし、時間割りを合わせるだけ。 「国語と算数と……学校が終わったら、パパとママが家にいるのかぁ。あはは、楽しみだな」 いつもなら憂鬱になる学校に行く準備も、その後の事を考えると楽しくなる。 早く明日になって、学校が終わらないかな。 だけど……私の楽しみを邪魔するかのように、それは今日もやって来た。
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