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上まで到達すると、彼女は「どうだ?楽しかったか?」と。腹の立つ皮肉を言い始めた。
「この状況を説明しろ」
俺は鋭い視線を向けるが、彼女はまったく気にする素振りをみせずに落ち着いている。
「まぁまぁ。そう怖い顔をするな。今から説明してやるから。そのまえに自己紹介からだな? 改めて私の名前は雨宮真理奈。名前で呼んでくれ。わかったな! 名前だぞ?」
説明を受けるには俺だけ自己紹介しないわけにもいかないので、渋々自己紹介をする。
「神崎大翔(しんざき ひろと)だ。どうとでも呼んでくれ」
雨宮は相変わらず無関心な俺の態度に手を叩いて笑った。
――何がそんなに可笑しいんだ?
「きみもこの状況に驚きを隠せないだろう。少しは心が揺さぶられたかね?」
――確かに雲に衝突する瞬間は初めて生を感じた気がしたが。
「きみの性格が変わるのは良い事だと私は思うよ。これでマインドブレイカーと言われなくすむだろうしな!」
「マインドブレイカーって何なんだよ。あとこの下の物体はなんだ」
「アハハ。きみも可笑しなやつだなぁ。この状況よりもそっちの方が気になるのか?」
俺が言葉を発しなくなると、雨宮はけらけら笑いながらもマインドブレイカーについて説明してくれた。
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