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厳しい冬を越え、新しい生命の誕生が約束された季節――――春。
三限目の授業を開始するチャイムが鳴り響く中、暖かい春の日差しが射す屋上に通学用のバックを枕にして寝転ぶ青年が一人いた。
青年はムクリと起き上がると、少し痩せ気味の体を伸ばす。
体の関節からはコキコキと気持ちの良い音が響き、大きな欠伸を一つすると、コンクリートの床の上に再度仰向けに倒れ込んだ。
上空には雲ひとつない青空が広がり、青年は先ほど見ていた夢に思考を集中させる。
俺は夢の中でも屋上にいた。手には古めかしくて、厚さのある革製の茶色い表紙の本を持っており、さらには目の前には見慣れた制服を着た女子生徒の後ろ姿。
顔は確認出来ないため誰かはわからない。彼女は黒い綺麗な長髪をなびかせ、言葉を放つ。
『きみは世界を救う気はあるか?』
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